後藤徹・米本和広・宮村峻・脱会カウンセラーや牧師の海外レポート

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旧統一教会をめぐる問題について、まとまった情報がなかなかありません。そんな中で「国境なき人権」が出した2011年のレポート。これが一番まとまっているように感じました。PDFファイルで61ページにもなりますが、意外と読みやすいです。
  
外国人の日本評論なんて的外れなものばかり… そう思っていたら、大きな間違いです。ここでは、面白いと思った内容を部分的に引用しています。

「国境なき人権」の2011年レポート

2011年12月31日 「国境なき人権」日本語レポート
http://www.hrwf.org/images/reports/2012/1231%20report%20final%20jap.pdf

国境なき人権 HRWF(Human Rights Without Frontiers)
https://hrwf.eu/

注目人物は、後藤徹・米本和広・宮村峻

背後には、山上徹也と有田芳生の存在も!

後藤徹: 宮村峻や家族に12年間も拉致監禁される。2014年に東京高裁で勝訴。2015年に最高裁棄却で勝訴が確定。

米本和広: 山上徹也が手紙を出したルポライター。統一教会を批判するも、脱会ビジネスとも対立!
  
宮村峻: 脱会屋とされる人物。有田芳生とは「盟友」であると有田談。東京高裁から1100万円の支払い命令で敗訴。

2011年レポートより引用

以下の文章は、すべて引用したものです。部分的に引用しています。

この報告書は、独立系の非政府機関である「国境なき人権(HRWF)」が、日本人を対象にした棄教目的の拉致・監禁の実態を記録したものである。


不法な拉致行為だが、その特徴は被害者本人の家族が、「脱会カウンセラー」と共謀して実行していることだ。


監禁されている間に被害者は脱会を強要されるが、そうした説得行為を担当するのはプロテスタント教会の牧師や関係者が多く、問題の新興教団の元信者も支援する。被害者の中には、拉致・監禁を経験してPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、深刻な心理的障害に苦しんだりする者も出ている。

最悪のケースとして、統一教会信者の後藤徹氏は暴力的に拉致され、12年間も隔離状態で監禁され、その間に絶食の強要を含む過酷な仕打ちを受けた。2008年に解放されたが、その後、検察当局は拉致の実行犯について「証拠不十分」ということで起訴していない。

実際、加害側の両親脱会カウンセラーを相手取った告訴は、知られている限り全て不起訴処分とされた。警察は実に及び腰で、証拠や文書が揃っていると見られるケースでも捜査しなかった。


この報告書は、日本人を対象にした棄教を目的にした拉致・監禁の実状と、そうした犯罪行為の加害者を捜査も起訴もしない警察や司法当局の実態についてまとめたものである。拉致被害者に法の下の平等な保護を保障していないこと、そして加害者に何ら刑事責任を問わない状況は、日本国民が憲法で保障された権利および日本が国家として義務を負う国際的な人権規準に対する重大な違反に当たる。


拉致はおおむね、被害者自身の家族の手で実行される。プライバシーを尊重せざるを得ないことと、家族の側も身内の恥を外に出したくないことから、その扱いが難しい家庭内暴力の一つだ。


ジャーナリストは全般に関心がなく、国内の人権団体も問題視していないようだった。


米本和広さんについて PDF 16ページ

ところで、この問題を調査するに当たり情報提供をしてくれた米本和広氏について触れておこう。米本氏は多筆なフリーのジャーナリストで、新宗教やカルト批判の調査報道では有名な人物だ。その彼が過去10年間、棄教目的の拉致とその影響について取材してきた。米本氏は市民的自由と、それを定着させるための法律に関心を持つ、知的公平さを持つ著述家だ。


後藤徹さんについて PDF 16~17ページ

12年間も監禁された後藤徹氏は、家族と脱会カウンセラーを相手に民事訴訟を起こしており、その行方が注目される。脱会カウンセラーは親をあおって子供を拉致させ、子供が脱会するまで監禁するよう公然と指導している。それ自体が法律違反に相当するものだ。

統一教会の元信者で、後にプロテスタントに改宗した田口民也氏は自著『統一協会 救出とリハビリテーション』(1994年9月、いのちのことば社)の中で、拉致を実行したい親兄弟を募り、監禁用アパートの探し方、隔離に必要なリフォームの仕方、賃貸契約する際の注意、揃える備品と避けるべき事項、食事のことから警察が訪れた際の対応方法まで、「救出作業」の段階ごとに詳細なアドバイスをしている。

「青春を返せ」訴訟の裁判調書の中で、高澤守(「独立系」プロテスタント教会牧師)は、自ら棄教目的の連行・拘束に関わったことを認めている。

最後に大事なことだが、2002年と2004年の3件の民事裁判での判決は、棄教目的の拉致・監禁の事実を認定し、さらに強制的な脱会説得を違法と断定し、その加害者を非難した。

富澤裕子さんが両親と脱会カウンセラーの高澤守を相手取って起こした訴訟の判決で2002年2月22日、広島高等裁判所(松江支部)は、両親が31歳の富澤さんを逮捕し、1997年6月7日から翌年8月30日まで監禁した事件について、違法行為を認定し、「控訴人高澤は、逮捕・監禁を幇助(ほうじょ)した」と断定した。


米国務省 2011年度版の報告書

ディプログラマーが家族と協力して、統一教会、エホバの証人、その他弱小教団の会員を数年間にわたり拉致・監禁してきたとの報告があった。事件の件数は1990年代から大幅に減少した。


統一教会が報告を誇張あるいは捏造(ねつぞう)したと非難する非政府組織(NGO)もあった。


拉致拘束と監視下での棄教説得 PDF 22~30ページ

(1) 親のごく当たり前の心配が、拉致実行を決意させるまで
 
教育を受けて成人年齢に達していても、自分の子供が新宗教運動に関わりを持ち、一生を捧げようと決意して退職・退学までしたら、親が狼狽するのは至極当然だ。しかも問題の宗教が直接・間接的にマスコミで悪く取り上げられれば、心配はなお募る。当惑した親は相談できる人や団体、例えばその宗教の元信者、聖職者、カルト専門家や反カルト活動家・団体などを探すだろう。その心配を解決してくれそうな脱会カウンセラーと出会って勉強会に招かれ、参加した場で子供が関わる宗教が邪悪なものだと徹底的に教え込まれたとする。彼らの話を通じて親はさらに不安をあおられ、他の親が子供を拉致して棄教させるのに成功したと聞けば、自分も拉致を含むあらゆる手段で可愛い子供を救おうと決心するに至る。このようにして家族は、拉致して同僚信者たちから隔離し、強制的に脱会説得をして棄教させ、場合によっては別の信仰(たいがいは福音派プロテスタント教会)に改宗させるほかに解決の道はないのだと、次第に確信するようになる。


環境科学の分野で博士号を持ち、著名な研究所で勤務していた別の被害者は、2011年1月1日に拉致された。彼女は「国境なき人権」に次のように証言した:

「事件以後、母から聞いたところによると、母は日本基督教団新宿西教会に通ったり、いわゆる『マインド・コントロール』の研究をしている西田公昭氏に話を聞きに行ったりしたそうです。宮村峻には、4回程相談に乗ってもらったと話していました。うちの家族は常識的なので、母が拉致・監禁など思いつくはずはありません。」


(2) 拉致の計画
 
拉致の段取りは念入りに計画される。監禁場所を用意周到に準備し、被監禁者が外から見られず、声が聞かれないようにし、外部との一切の通信を遮断しなければならない。賃貸契約を結ぶ際も、たいてい反統一教会活動家のシンパとか、子に対する脱会説得に成功した親の名義でなされる。両親や親族は監視役として数週間から数カ月、稀には数年間、昼夜を分かたず取り組むことを覚悟しなければならない。


脱会カウンセラーが拘束の共謀者であることは、神戸地裁平成6年1732号事件(青春を返せ訴訟)において、統一教会側弁護士と高澤牧師とのやり取りで明確に証明されている


(5) 行方不明
 
ある信者が拉致・拘束されれば「行方不明者」になる。しかし事件の加害者である両親や親族が届け出ず、さらには被害者の雇用主や近隣住民に手を回して、被害者は当分帰宅しない、などと説明して回れば、日本の司法当局は行方不明事件として取り扱わない。仮に第三者が通報しても「家族の問題」として処理する。


(6) 第三者による強制棄教は、信者の取り合いでもある
 
信者を物理的かつ心理的にも隔離状態に置いて棄教を説得するのは、主にプロテスタント教会の牧師や関係者で、それに元信者たちも助力する。

一連の脱会カウンセリングでは、プロテスタント教会の聖書講釈を軸に、標的となった教団の教義の矛盾や誤りといった点に焦点が当てられる。つまり宗教間の競合が反映されているのである。そのような思想的闘いは、「宗教の自由市場」の状況下では合法的なものだし、また表現の自由の原則にもかなっているわけだが、個人を長期間監禁して行動を制約することは、国際的な人権規準から見ても容認できない。

脱会カウンセラーのいわゆる「保護・説得」なる表現は、その裏面にある強要、威迫、脅威を隠すものにすぎない。


(7) 「救出作戦」の代価
 
子供への愛情から、親たちは多額のお金を用意する。「国境なき人権」は拉致・監禁・脱会説得に費やされた金額について正確な情報を得られなかった。しかし車両レンタルや、どれだけの期間を要するか分からない監禁のためのアパートや家の賃借り、住居リフォームなど、出費は半端ではない。

加えて「国境なき人権」は、脱会説得に携わる人たちが親から謝礼を受け取っているとの証言を得た。その確認をとるのは難しかったが、ケースバイケースで金額は400万円から1000万円までだという。


(8) 脱会カウンセラーの背景と動機
 
脱会カウンセラーになるのは通常、キリスト教の福音派およびペンテコステ派の教会の牧師や関係者が多く、新宗教に加入した人の家族の心配につけこみ、教会と競合する異端を排除したり、不安に陥った親を伝道したりするのに利用した。カウンセラー自身は拉致を実行しないが、準備段階では深く関わり、特に勉強会や、拉致を成功させた親たちとの会合を通して親たちの意識を啓発している。被害者の証言では、拉致・監禁を実行中の親がカウンセラーに電話で相談することもあった。


脱会強要をする牧師たち PDF 31ページ

「国境なき人権」の聴取や調査で、頻繁に挙げられた名前は次の通り:

森山諭:荻窪栄光教会牧師(日本イエス・キリスト教団)。1966年に拉致・監禁による強制改宗を始めたキリスト教会牧師。1996年に死去。
松永堡智(やすとも):新潟県の新津福音キリスト教会(日本同盟基督教団)牧師
高澤守:独立系福音派教会のキリスト教神戸真教会牧師
船田武雄:京都聖徒教会(日本イエス・キリスト教団)牧師
清水与志雄:行田教会(日本基督教団)牧師。元統一教会員。
平岡正幸:日本福音ルーテル教会牧師。2009年に死去。
高山正治:倉敷めぐみ教会(日本同盟基督教団)牧師。
黒鳥栄(女性):戸塚教会(日本基督教団)牧師。
  
上記以外で宗教的理由を持っている脱会カウンセラー
  
田口民也:元統一教会修練所長。後にキリスト教福音派教会の信徒になる。2002年に死去。
パスカル・ズィヴィ:羊が丘教会(日本イエス・キリスト教団)の信徒で、札幌に拠点を置く「マインド・コントロール研究所」を設立。著書に『マインド・コントロールからの脱出』がある


宮村峻と国会質疑 PDF 32~43ページ

しばしば登場する一人の脱会カウンセラーが、広告代理店経営者の宮村峻(たかし)だが、同人の宗教的背景は分からない。


2000年4月20日、国会議員の桧田仁氏は、当時の田中節夫・警察庁長官、林則清・警察庁刑事局長、古田佑紀・法務省刑事局長らが政府参考人として招致された委員会で、拉致・監禁事件への対応について具体的な質問をした。


2010年5月14日、参議院決算委員会の秋元司委員(自由民主党)は、数名の政府代表者に、棄教目的の拉致と拘束が発生した場合の対応について質問した。警察は拉致実行者である親の側に立つことが多く、拉致・監禁の被害者の訴えがまともに聞かれないことが多い。


両親は3人の子供が妙な信心を持つことを憂え、統一教会から引き離そうとしていた。そこで両親は元信者の親たちで作った「水茎会」(みずくきかい)と連絡を取っていたが、そこの幹事役が宮村峻だった。宮村は広告代理店の社長で、宗教的な動機・背景のない脱会カウンセラーだった。


宮村峻による棄教の強要

1998年1月から9月まで、宮村峻は統一教会元信者らを804号室に連れてきて、徹氏に棄教を強要した。徹氏自身の記録によれば、宮村は9月までに73回もマンションを訪れた。宮村はこううそぶいていたという:「貴様を監禁しているのは俺じゃないぞ、お前の家族だ。外に出たいなら家族に訴えるんだな!」。つまり脱会カウンセラーとして、後藤氏の自由が奪われていたことは百も承知だった。実兄も妹も威嚇的に語ったという:「あなたが変わらないなら、一生ここで暮らすことになる!」


統一教会の分析 PDF 59ページ

統一教会は日本での宣教当初から標的にされてきた。その理由は重層的であるが、決定的に重要なことは次の通りだ。
①韓国に由来する新宗教であったため、日本では歴史的理由から反感が醸成されやすい、
②統一教会はキリスト教であると主張しているが、プロテスタント教会からは危険な異端と見なされてきた、
③統一教会では信徒の配偶者選びに肉親の同意を軽んじて、新たな真の父母と称する文師夫妻が韓国や米国で合同結婚式を挙行するなど、日本の家庭文化に抵触して物議を醸しやすい、
④いわゆる霊感商法や「青春を返せ裁判」で不利な判決があり、マスコミに大きく取り上げられた、
⑤新たな信者獲得のための手法、
⑥資金づくりの活動。


「国境なき人権」からの勧告 PDF 61ページ

警察と司法当局は、成人を監禁下で強制棄教させようとする拉致行為に直接間接に関与した人々を起訴すべきであり、刑事事件化を差し控えるべきでない。


ジャーナリストは家族による強要行為の事例を調査し、もっと世間に率直にアピールして、問題に対する認知度を高め議論を深めるべきだ。マスメディアは問題を客観的に記録し公開すべきだ。


日本と双務的関係を持つ国々は、日本が国民を犯罪から保護できないでいることに懸念を表明すべきだ。特に米国国務省と欧州連合は、日本政府との折衝の際や報告書の中で、この問題に言及すべきだ。米国の「国際宗教自由委員会」は、この問題に適切な関心を注ぐべきである。


国連の加盟国は、UPRプロセスで日本の人権状況を審査する際に、この問題を取り上げるべきだ。国連人権委員会は「規約」に関する日本の遵守状況を次に審査する際に、この問題に集中すべきだ。


筆者の情報

アーロン・ローズ博士:国際的人権活動家、大学講師、文筆家。1993年から2007年まで国際ヘルシンキ人権連合(ウィーン)の常務理事。
 
イアン・リーダー教授:1999年から2006年までランカスター大学で宗教学教授、2007年からマンチェスター大学で日本学教授。
 
ウィリー・フォートレ:「国境なき人権」代表
パトリシア・デュバル:パリの弁護士
ビクトリア・パーカー氏、ハンス・ノート氏など

このレポートはおそらく、95%以上は正しいです。長すぎて読みにくいかもしれませんが、まとまった情報としては秀逸です。これが2011年末の情報というのも驚きです。

このPDFファイルの作成者は、面白い人です。国際機関の外国人だと思いますか?残念ながら違います。PDFファイルの文書情報に残っています。続きはこちら。
  

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